コミックマーケット76参戦記



コミックマーケット(Comic Market、通称:コミケあるいはコミケット)とはコミックマーケット準備会が主催する世界最大規模の同人誌即売会である。
(フリー百科事典Wikipedia 2009年9月26日 (土) 16:02時点での記述より抜粋)


生まれてこの方、噂には聞けども行こうという気にはならなかったのは、何だかんだで目的とするものが無かったからでしょう。
過去、物見遊山で言ってみようかと友人と話していたこともあったのですが、なにぶんこちらは先立つものの無い一介の貧乏学生。行った人の土産話で満足していたものです。

しかし!
ついに今年、その目的とするものが現れた!

白爪ニワトリさんの主催するサークル「Last White」から出ている『EDEN−最終戦争少女伝説−』。私が最近嵌っているサウンドノベルなのですが、これの最新の体験版がこのコミックマーケット76にて頒布されるとの事で、人生初めてのコミックマーケットに参加することを決めました。
今まで聞くだけだったコミケとやらが、実際どんなものなのか見てみたい。という物見遊山的な考えもあったことも否定できないのですが………

ついでに言うとエロゲ会社エウシュリーのブースも当初の目的だったのですが、今回は落選して不参加だそうです。真に残念。

さて、しかし一人で行くのも何かと面白くない、という事で友人(女の子)に声を掛けたところ、「行く行く〜」と、二つ返事でOKが。聞いてみると、TYPE-MOONの企業ブースに行きたいとの事。その後、「セイバーさんの可愛さを理解しろ!」と言われてFate/stay nightをやらされる羽目になったのはまた別の話。

いや、やらされたとか書いてますけど、面白かったですよ。Fate。セイバーさん可愛いです。やっぱりポニーテールが……っと、何を言ってるんだ僕は。

さらに、その友人(以下、Sと記載)がコスプレ(勿論?セイバーさんの)をしたいということで、各自の用事が終わり次第、コスプレ広場も目的に加わる事に。
私も自作アビスマントで仮面の男をやろうかと思ったのですが、いい感じの仮面が見当たらなかったのでやめときました。ライブで配られたちゃっちいのしか無かったもので……
 他にも実は綾波さんの制服(というより、第三新東京市第弐中学校女子制服)を持ってたりするのですが、流石にそれを着るのは身内ネタの域を超えてはいけない気がします。女の子が着てくれれば、万々歳なんですけどね。



ここまでが前日譚。いやぁ、実にどうでもいい話でしたね。



オタクの中では祭典の日と言えども、世間様からしてみれば8月15日はお盆の日。ご先祖様へのお参りは少し早めに済ませ、前日の14日に長野から神奈川のアパートへ戻って、その日は就寝。
ちなみにこの時砂由紀は、年甲斐も無く緊張して、日付変わってしばらくするまで寝付けなかったという………遠足前の小学生か!

そして当日の朝。
睡眠時間の少なさからくるダルさを我慢しつつ、何とか5時に起床。そして6時に小田急に乗車。
駅のホームはそんなに人は居なかったものの、よくよく見ると明らかに「これからコミケ行きますっ!」というスタイルの方々がちらほら。ちなみに僕の服装はジーパンにタンクトップに羽織り一枚に黒麦わら風帽子、バッグはそんなに物を買う予定が無いので肩掛けの小さいやつにしました。

新宿で小田急から埼京線に乗り換え、一路Sとの待ち合わせ場所である東京テレポート駅へ。
どうでもいいですけど、埼京線って聞くとどうしても最強線ってイメージが沸きませんか。その名もStrongest line!しょーもないですね。失礼しました。

AM9:00、東京テレポート駅にてSと合流。
きっちりとお洒落してきた、友人の贔屓目で見てもかなり可愛い女の子と待ち合わせだなんて、なかなか憧れるシチュエーションではありますが、残念ながらSは彼氏持ち。ま、現実はそんなもんです。
東京テレポート駅ですが、ここからコミケに向かう人はあまり多くは無いように感じました。やっぱりゆりかもめを使って来る人が多いのでしょうか。とは言え、この駅でもしっかりコミケ会場までの誘導が行われていました。

そして誘導に従い、いよいよコミックマーケット会場、東京ビッグサイトへ!
さあいよいよ人生初のコミケへの第一歩を踏み出すのだっ………って、
砂「………」
S「………」
砂「………うわぁーお」

予想はしていた、とか話には聞いていた、とは言いますが、コレばかりは実際に見てみないと分かりません。
もう見渡す限りの人・人・人の列……


※砂由紀は絵心を保育園時代に不法投棄しました。

もうこの時点でちょっとゲンナリしながら列の最後尾へ移動を始めたのですが、何故かいくら歩いても辿り着かない!
ビッグサイトから遠ざかるように歩いて歩いて歩きまくって、ようやく列の最後尾に到着。すでにここからだとビッグサイトそのものが視認できないどころか、列の先頭が地平線の彼方に延びているように見えます。


列の最後尾。

そうして列の最後尾についてから1時間。

(な、長い……噂には聞いていたが、開場した筈なのにまったく列が動かない……!)

 列が動かないのはともかくとして、ここは夏も真っ盛りの首都東京。そろそろ本格的に日も出てきて、とにかく暑い。帽子やタオル、そして十分な水分を買ってきておいて正解でした。実は既にこの時点で1L以上の水を摂っているのですが、ついぞトイレに行きたくならなかったのは多分、全部汗に持っていかれてたから。恐るべし、東京の夏。

 話は少し逸れますが、この前日、つまりコミケ初日には、この開場待ちの列を含めて数々のトラブルが有ったようです。
 以下、まとめサイトより抜粋。

ニコニコ生放送にてコミケ実況中継してた3人がスタッフに注意される
開場を目前にして「大丈夫です大丈夫です」とか言ってた人がタンカで搬送
徹夜組は1万2千人(一日目全体の来場者は約18万人)
咲好きが集まりアニメの2ndOPを合唱
腐女子がカタログ分冊したいらしく二人ががりでカタログ破り始めた
幸福実現党がコミケを中断させて会場で演説したがる
101万円入れた財布を持っていく奴
西館で中学生ぐらいの女の子が頭から出血して運ばれる

色々とカオスな状況です。
 他にもやはりと言うべきか。トイレ云々のトラブルもあったようです。幸いにしてその類の人は見かけませんでしたが、体調を崩して運ばれていく人は数名見かけました。
 ちなみに僕もSもこの時点でだいぶグロッキー。所詮二人とも寒冷地仕様の長野人。暑さには一般人より弱いのです。

そして直射日光に炙られること更に一時間。およそAM11:00、ようやく会場に入ることが出来ました。
 僕の目的とするLastWhiteは、この場合残念なのかそうでないのかよく分かりませんが、そこまで知名度が高くないのである程度後に行っても売り切れの心配はあまり無い、と判断した為、最初に二人でTYPE-MOONのブースのある企業ブースへ行くことに。

 企業ブースへ向かう道中では、既に目的の買い物を全て終えたと思しき人達がたむろって、戦利品を眺めたり休憩したりしていました。朝5時起床の僕達でさえこの時間に入場、ということを考えると、相当早く――本当に早朝から、もしくはいわゆる『徹夜組』という人達も混じっていたのではないでしょうか。
 早く戦利品を眺めたいのは分かりますが、まだ入場者が沢山いる時にそういう事をされると、正直言って邪魔でした。

 それはともかく、一路ビッグサイト上階の企業ブースへ。
 既に人気企業の所には、外の広場まで続く整理列が作られていて驚きました。このままではTYPE-MOONも結構厳しいんじゃないかと思い、心持ち急いでブースへ。

 さて、TYPE-MOONのブースに着いてみると、意外や意外、誰も並んでない。おや、これは良かったじゃないかと思いきや、ふと外の広場を見ると『TYPE-MOON最後尾列』の看板を持った人が。そしてその前には長蛇の列がっ……!

 どうやら販売開始時間直前に到着した模様。ならばと急がねばと最後尾に付く。
最後尾についてからすぐに販売が開始されましたが、流石は人気企業。並んでいた人数も相当なものなのか、列はいくら待っても全く動かず………

 さて困った。まだ時間は早いほうですが、僕の目的であるLastWhiteさんとて商品が無限に有るわけも無く。このままTYPE-MOONの列に並んでいたら、もしかしたら売切れてしまうかもしれない!それは流石に困る。
 そんな風にそわそわしていた僕を見かねたのか、Sが「行って来ていいよ〜」と言ってくれたので、集合場所を決めて、互いの買い物が終わり次第そこで合流しようということに。

 ―――これが後々の悲劇に繋がろうとは、誰が予想しただろうか……


 さて、企業ブースを出て、目的のブースのある西館へ。
企業ブースから他館へ行くには、エスカレーターを経由して行くのが最も手っ取り早いのですが、「エスカレーターでは決して歩かないで下さい!」「必ず一段空けて乗るようにして下さい!」と注意を促すスタッフの方々に混じって
『エスカレーターは一段開けて立ってね!
 あと、エスカレーターで歩くと転んじゃうことがあるから、歩かないでね!』
と、何処かで聞いたことがあるような調子っ外れなゆっくりvoiceが………
こういう小ネタを仕込む、スタッフの遊び心はなかなか小憎らしいですね。

しかしそれも束の間、ぞろぞろと進む列に乗って西館の入口エスカレーターに到着したのですが、そこから見えたのはホールに並ぶ人・人・人の列。
見た所、どこかのブースに並んでいる、とかいう訳では無さそうだが……

見知らぬ人A「うわ、出口詰まってますね〜」
見知らぬ人B「え、あれ出口なんですか!?うっわ〜……」
     砂「マジっすか……うわ、全然動かないじゃないですか」
見知らぬ人A「こりゃ、脱出に時間が掛かりそうだなぁ……」

 唐突に知らない人とのコミュニケーションが発生したことはともかく、少し引き返して考え直したほうが良さそうだと思い立ったが時既に遅し。僕を乗せたエスカレーターは、無常にも西館へ下っていく………

 しかし考えてみれば、目的地はどうせ西館。買うのを諦める、という選択肢は無いから、いずれ入る事になる。それなら今入った所で何も問題は無い!むしろ早く行ったほうが良いに決まってる!
 と、思い直すことにしたのですが………
 
 ………。

 ………………。

 (……………………あれ?)

 ……どうもおかしい。
 いくら探しても目的のLastWhiteのブース(ブース番号)が見当たらない。

 各所に張ってあるブース表にも表記が無く、試しに歩いて回ってみても、それらしいブースが見当たらない。
 なんとなくついてしまった察しが間違いであることを念じつつ、スタッフの人に聞いてみることに。

スタッフの人「あ、それは東館ですね」
     砂(……………。)
 そんなこんなで事前の準備の不十分さを露呈する形に。実に情けない。
でも、確認したときは確か「西館」って書いてあった気がするんだけどなぁ………

 しかし、ここでとやかく言っている暇は無い。何しろ先ほど見たように、西館からの脱出はかなりの時間が取られそうな上、Sとの待ち合わせもあるのだ。
 ここで自分の失敗のせいだから、とLastWhite訪問を諦めることも考えたのですが、しかしそれではコミケに来た意味が全く無くなってしまう。

 そして気を取り直して、西館からの脱出列に並んだのですが………

(動け、動け、動いてよ!今動かなきゃ、今やらなきゃ皆死んじゃうんだ!もうそんなのイヤなんだよ!だから、お願いだから、動いてよぉぉぉぉぉ!!)

 最後尾についてからおよそ1時間、この時点で何と未だ西館からすら脱出できていないという状況。
 シンジ君ばりの心の叫びもしたくなるってもんです。 周りの人も暇つぶしに音楽聞いたりDSでドラクエをやっていたり………
 DSをやっていた人はかなり多かったので、何でしたか、すれ違い通信とやらは大層繁盛した事でしょう。

 この時点でSに遅れそうな旨を連絡しようと思ったのですが、なんと携帯が全く繋がらず。
 そういえば開場待ちをしていた時、スタッフの人が
「時間が経つに連れ携帯と友達は当てになりません」
 とか叫んでいた気が………
 スタッフが言っていた意味を、盛大に実感する羽目になりました。

 それでも何度か試行して、何とか留守電に繋がる事が出来たので、遅れるからその辺をぶらついてて、とメッセージを残してひたすら待機。

 忍耐強く待ったお陰か、およそ1時間半で西館からの脱出には成功しました。
 がしかし、脱出した眼前に待ち受けていたのは更に長い列、列、列………

 それが全部東館へ向かう人の列だと聞いたとき、流石にもう諦めようかと思いました。
 流石にこの列をずっと待っていたら、Sとの合流どころかコミケが終わってしまいかねない!

 そこで列から脱出、ビッグサイト入口方面からのアタックを試みることに。
 一種の賭けだったので、これで駄目そうならおとなしくSと合流しようと考えていたのですが、どうやら上手くいったようで1時間くらいで東館に入ることが出来ました。

 後で知った話なのですが、この件はコミケスタッフ(ボランティアの方々)にとっても想定外の出来事だったようで、後に反省点として挙げられていました。
 18万人の人間が東館に殺到していたとの事で……そりゃぁ仕方ないですよね。

 さて、しかし東館に入ってしまえばこちらのもの。早速白爪ニワトリ氏のブースへ。

 時間が遅かったのもありますが、ニワトリ氏のブースはあまり混雑はしていませんでした。しかし後々他人のレポートなどを見ると、午前中はかなりの盛況だったようです。
頒布物は全て買おうと思っていたのですが、オマケのキーホルダーだけは品切れになってしまったようで入手できませんでした。が、体験版そのものとポスターは手に入れたので問題無し!
 買うときに少しお話をさせて頂きたかったのですが、後ろも並んでいた為、簡単な挨拶だけさせて頂きました。因みにニワトリさんはイケメンにしてシブメン(イケてるメンズにして渋いメンズ)、そしてとても謙虚なお方でした。これで絵と文章の才能が溢れているってんだから、この世は不平等極まりない。

 この時点でSからは連絡が入っており、Sも別のブースを回っているらしいので、しばらくお互いにぶらぶらしてから合流。



 さて、残りの今回の目的はSのコスプレのみ。
 16時半にコスプレ広場が終わって、現時刻が15時ほど。更に女の子の着替えは時間がかかるということを考慮すると、結構ギリギリの時間です。

 Sが着替えている間女子更衣室の前で待っていたのですが、当然というべきか、そこに居るのは自分以外全員女性。加えて更衣室前で監視している婦警らしき人も、明らかに不審者を見る目でこちらを凝視。
 ……そりゃぁ、女子更衣室の前で突っ立っている男が居たら明らかに不審でしょうが、ここでSとはぐれでもしたら先の二の舞なのですよ………
針の筵の心地とは、こういう事を言うのでしょうね。

 さて、無事に着替えも終わり、急遽Sの彼氏と合流して一路コスプレ広場へ。

 この時点で16時少し前だったので、コスプレ広場も撤収を始めている人がちらほらいたのですが、Sが会場に入った瞬間、

「セイバーですよね!?一枚いいですか!」
「あ、すいませんこっちもいいですか?」

 と、各所で撮影を頼まれ、その対応に忙しいS。


※本人の掲載許可は取ってあります。

 一応デジカメを持参して、他の人の写真を撮ろうと思っていたのですが、そんな状況もあって数枚しか撮れませんでした。

 ちなみに会場にサンホラのレイヤーさんはあまり居ませんでした。Moiraの双子を一瞬見かけましたが、残念ながら撮影には至らず……残念。
 露出の高いコスプレは控えるように規約に書いてあったのですが、まるで下着みたいな格好をしているレイヤーさんに、沢山人が集まっていました。どこまでが露出なのか定義が個人に任されているので、本人が良いなら良いのかもしれませんが……
私自身、見てるほうがちょっと恥ずかしかったです。



 さて、コスプレも無事に終わり、今回目的とした日程は全て終了しました。
 初めての参加ということもあり、色々と不手際(特に待ち合わせの悲劇)もありましたが、なんだかんだと言って楽しかったです。何事もやはり経験。やってみないと実態は分からないものですね。

 来年、または今年の冬コミは行くかどうか分かりませんが……目的が出来ればまた行くのも悪くないかもしれません。コミケの運営スタッフのボランティアも大変そうですが、その恩恵を享受した者としては、いずれ自分もやってみたいものです。




 実はその日のうちに高速バスに乗って実家に帰る羽目になっていたのは……また別の話ということで。




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